第一精密のフルートは、カバードキーなのにインラインキーなのが特徴ですが、
型番の刻印されていないSound daiichi seimitu と刻印されたフルートがまた作りがユニークで印象的でした。
製造番号も刻印されていません。
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なぜ、第一精密のフルートは、カバードキーなのにインラインキーなのかを考えると、インラインキーにすれば、部品も減るし作業工程も減るからではないでしょうかね。
リングキーじゃないカバードキーの普通のフルートはオフセットキーと言って、Gのための2つのキーが外側にずれています。
これは、実際に左手薬指で押さえやすいです。ですが、このために、この2つのキーのために支柱を立てないといけません。
支柱と2つのキーをつなぐパイプや芯も必要になります。
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さらに第一精密のフルートには普通のフルートよりもコスト削減されていると思えるところが他にもあるのです。
まず、キーの支柱に座金がありません。こうすれば座金の部品が不要ですし。それをはんだづけする工程も不要です。
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次にトーンホールです。普通のフルートのトーンホールは、引き上げた先を丸く外側に巻いています。
第一精密のフルートのトーンホールは引き上げたその先がそのまま切れていてまっすぐです。
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これも巻くぶんの金属が節約できますし、工程も減らせます。
他に第一精密のフルートで特徴的なのは、一見、キーの調節ねじがないように見えますが、AとF#キーの裏側にひっそりとついています。
機能的に必要なものはコストのために削ったりはしていないのです。
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あとトリルキーに厚みがある。普通は薄くて下に厚いコルクやゴムをつけるのですが、金属が厚くて薄いコルクを貼ってあるのです。
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これらの特徴は型番のあるSDN-251 やSDN-351 も同じです。
しかしSDN-402Cというフルートはつくりが普通のフルートと同じです。
30年くらい前のフルートですが、第一精密という会社のことはわかりません。
現在、第一精密産業という会社が存在するのですが、名前が関係ありそうなのですが、フルートは作っていないようです。
私の想像ですがスチューデントモデルとして安くフルートを供給するために、コスト削減の努力をしたフルートなのだと思います。
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そして、その努力を他のフルートメーカーに採用されることもなく、消えていったという実は日本にこんなフルートもあったんだよ的な存在なのだと思います。